このページでは東海中学・高校の教職員による推薦図書の紹介を行っています。
名 前 NT先生(高校数学科) 書 名 いたこニーチェ 著 者 名 適菜 収 出 版 社 朝日文庫新刊 図書館所蔵 081/テ 「超人」「ルサンチマン」、「神は死んだ」 少し前にニーチェがちょっとしたブームになり、これらの言葉を耳にした人も多いかと思います。 しかし、これらの本当の意味をニーチェが本当に言いたかったことが伝わったのでしょうか。 この本は降霊術によって現代日本に現れたニーチェにより、主人公の価値観が大きく変わっていくという内容です。 物語仕立てなので読みやすく、 ニーチェの思想の入門書としても理解しやすいものになっています。 民主主義とは?性差とは?平等とは? 現在、当たり前だと思われている価値観にヒビが入る一冊です。
名 前 ST先生 書 名 集英社新書「教養の力 東大駒場で学ぶこと」 著 者 名 斎藤 兆史 出 版 社 集英社 図書館所蔵 377/サ 「学がある人」と「教養がある人」の違いから、「彼は学があるが教養がない」とはどういうことかを冒頭で問題にしている。 1990年代に国立大学で起きた教養部解体の裏話を書いた新書かと思いながら、 五月の連休を利用して湘南モノレールに乗りに行った車中で読んでいた。 湘南モノレールは6キロほどの乗車区間だがトンネルもあり、震動も激しく、いかにも旧式のモノレールという乗り心地で満足をした。 さて、この新書は「教養の力」を正面から考察をした書物であった。 「リベラルアーツ」が「教養部」の「教養」だということは知っていたが、 ローマ時代の自由民になるための学問のこととは教養がなく知らなかった。 東大で出題された2005年度の入試間遠、三木清の「哲学入門」の一節がよく分からなかった。 「道徳は有能性を問われるものであり、実際に社会に働きかけなくては意味がないし、 社会に働きかけるときに自己の修養もできる」と書かれていたが、 それにこだわる三木清氏の意図が不明だった。 西田幾多郎の「善の研究」、阿部次郎の「三太郎の日記」、倉田百三の「愛と認識との出発」の三冊が旧制高校の学生が読むべき本であり、 これらに書かれた「人間は如何に生きるべきかを倫理的に問題にした意見」は当時の旧制高校生の「共通知」であると書かれていた。 つまり問題文は当時の旧制高校生の「共通知」を扱った文章であった。後半は「センス・オブ・プロポーション」について書かれている。 情報処理において、的確に処理をするためのバランス感覚のことである。 教養を身につける目的がこの「センス・オブ・プロポーション」を身につけることだと書かれている。 教員として禄をはむ以上この「センス・オブ・プロポーション」を身につけ、生徒にも「センス・オブ・プロポーション」を身につけさせることが望まれる。 「センス・オブ・プロポーション」を身につけるには定年までの残り時間が少ないと嘆くよりも、 「センス・オブ・プロポーション」という言葉を知り、必要性を感じたことに感謝したい。 「教養」に関心のある人にこの新書をお勧めします。